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未来の私へ~Dear mineシリーズ前編~


魔王ハドラー×勇者アバン。勇者アバンが未来の自分に宛てた手紙。魔王に惹かれる勇者の葛藤を描いたR18小説。Dear mineシリーズの前編です。#ハドアバ #R18
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※アンジェラ・アキさんの『手紙~拝啓 十五の君へ~』からイメージしたお話ですので、この曲に思い入れのある方は閲覧ご注意ください。

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『拝啓 この手紙を読んでいる貴方は、今どこで何をしているのでしょうか――』

想いを綴った紙片を紙飛行機にして、街外れの小高い丘の上から空へと放り投げた。
紙飛行機は風に乗って放物線を描くように飛んでいき、眼下にある教会の屋根を越えたあたりで見えなくなった。
あの手紙は、

――未来の私に届くだろうか。

◇

誰にも話せない秘密があるんです。

信頼できる仲間ができました。
それはとても喜ばしいことです。
でも、すべてを話すのは到底無理だと思うのです。
打ち明けられた人も困っちゃいますよね。

魔王を好きになったらどうすればいいのか、なんて。

今までたくさんの本を読んだけれど、どの本にも載っていなかったし、誰も教えてはくれなかった。

ねぇ、私は一体どうしたらいいですか?
貴方ならどうしますか?
貴方なら――

◇

目が合った瞬間、鐘が鳴った。
頭の中にガランガランと鳴り響く鐘の音は結婚式のそれを思わせた。
だがそれが祝福の音色ではなく、警鐘だったのだと気付いたときには既に遅く。

好きになってはいけない人を、好きになってしまった。

あの人は気まぐれに現れては私を抱いた。
私のことはお構いなしに強引に押さえ付けて穿つだけ。
なぜこんなことをするのかを訊くと、私の見た目が好みだと宣(のたま)った。
なぜ大人しく犯されてるんだと訊き返されたので、お前の見た目が好みだからだと言い返すと、面白いやつだなと声を出して笑った。

――人の気も、知らないで。

はじめて、だった。

みっちりと閉じられた場所をあの人の肉竿が無理矢理かき分けていく。
あまりの痛みと衝撃に目の前にチカチカと火花が飛んだ。
口から内蔵が飛び出そうなほどの強烈な圧迫感に苦しくて息ができない。

これまで男女はもちろん、男同士の交わりについて全くの無知というわけではなかった。
しかし、本で得た知識など今は全く役に立たないのだということを身をもって知ることになった。
私は目を見開き、酸素を求めてはくはくと口を開けていることしかできなかった。

最初のうちは只々痛みに耐えているだけだったが、回数を重ねる毎に私の身体は少しずつ変わっていった。
無理矢理貫かれるのは相変わらずだったが、痛みだけでなく徐々に快楽を拾うようになってきたのだ。
脳が痛覚より快感の方を優先するように処理し始めたのかもしれない。
自分を守るために。
あの人を受け入れるために。

あの人にとって、私はお気に入りの玩具のひとつでしかなくて。
玩具を独り占めする子供のような執着心だとわかっていても、欲しがられると私の身体は抗えず侵入を許してしまう。
自分が頭で考えるより随分と、身体のほうは素直だった。

声は出さないと決めていた。
自分の感じてる声なんて聞きたくないし、もちろん聞かせたくもない。
なにより、犯されて悦んでいるなんて悟られたくなかった。
でも次から次へと与えられる快楽を痛みで抑え込まなければ我慢できない。
強く唇を噛んで誤魔化していると、痛みと同時に込み上げる虚しさで涙が溢れた。

「どうした?」
後背位で激しく腰を打つ動きが止まる。
散々嬲っておいて何を今更。そんな台詞が出かかった。
「別に……なんでもありません。いいからさっさと済ませてくれません?」
唇に赤い血を滲ませながら、組み敷かれた肩越しに薄目で自分を犯している男を見た。

「口の減らない奴だな」
あの人は私の後頭部を押さえつけ、思い切り私の最奥を突いた。
内蔵を抉られるような衝撃を受け、反射的に唇を噛もうとしたとき、あの人の指が私の口内に割り込む。
「口を開けろ」
「あぁ、はっ、ぁ」
塞ぐことができなくなった唇から、吐息に混じって殺しきれなかった声が漏れた。
「いい加減、鳴け」
長い指は私の舌を見つけると、揶揄うように口内を舌ごと掻き混ぜた。

「あっ……う、ぁあ、」
その間も激しい抽送は続いていて、痛みで誤魔化せなくなった快感が、頭からつま先までを駆け巡る。
なんとか気を取り戻そうと、私の口内を我が物のようにしているその指に抗議するようにガリっと歯を立てると、
「ちっ、相変わらず強情な奴め」
「出すぞ」
そう言って私の口から指を抜き、ガッと腰を掴んで自身をグリグリと奥へと押し込み精を吐き出した。

「うっ……ぐ……」
拳をぎゅっと握りしめ、再び唇を噛んだ。
口の中に鉄の味がしたがいつもの味ではないと気づく。
魔族の青い血にも鉄分が含まれているのだなと、吐き出した精をすべて奥へと注ぐかのようにゆるゆると抜き差しされながら、熱に浮かされた頭でぼんやりと思った。

ある時、あの人は月明りの無い烏夜に、つつ闇から姿を現し私を攫った。
私を抱きかかえたままキメラの翼で飛んだ先は魔王軍の拠点の一つだろうか、洞窟内部のような薄暗い部屋だった。
蠟燭の明かりが灯る石造りの寝台の上でいつも通り組み敷かれた。

「んっ……ふ、」
暗い洞窟内にくちゅくちゅと水音が響く。
私はうつ伏せにされ、尻を高く突き上げた状態で秘部を解されていた。
一本二本と増やされ胎内で自分勝手に動き回る指を恨めしく思うが、以前は碌に解しもせず貫かれたことを思えば今は随分マシなほうだ。

「うわっ」
突然片方の足首を掴まれくるっと仰向けにされた。

「『北風と太陽』を知っているか?」
「?」

なんのことだ?
なぜこの男はいきなり人間界の寓話を持ち出したのか、質問の意図が理解できず眉を顰め訝しむ私を、あの人は黙って見下ろしている。

開いた脚の向こうに、血管の浮き出た猛る雄が雁首を擡げているのが見えた。
ゆらゆらと蝋燭の炎が揺れる薄暗い部屋でもよくわかるくらい、潤滑油でテラテラと光り聳り立つそれはまるで凶器のようで。
これまでまじまじと見たことがなかったが、あんなものが私の薄い腹の中に挿入(はい)っていたのか、また、これから挿入(はい)るのかと思うと、無意識に腰がひけた。
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あの人の手が私の顔に伸びてきたことに気づき、その凶器を口淫させられるのかと思い、ひっと息を呑んだ。
すると何を思ったのかあの人は、ビクッと身体を強張らせ目を瞑った私が恐る恐る目蓋を開くのを待ってから、私の前髪をくしゃっと掻き上げ、ゆっくりと額に口づけた。

一瞬何が起こったのかわからなかった私は、目を見開いたまま固まっていた。
蝋色の双眸に愕いた自分の顔が映る。
あの人の唇はそのまま鼻筋をなぞるように下りていき、そっと私の唇に触れた。

はじめての、口づけだった。

あの人は啄むような慈しむような口づけをしながら、ガラス細工に触れるかのような繊細な動きで私の頬に、項に、胸元に、無骨な指を滑らせた。
なぞられた肌が粟立ち、じわじわと熱が広がっていく。

なにこれ。
やめてやめて。
こんなの、まるで

――恋人同士みたいじゃないか。

「やめろっ」
分厚い胸板を両手でグッと押し返した。
これまで制止らしい制止をしたことがなく、黙ってされるがままだった私の言葉に、あの人は少し驚いていたようだった。
「何故だ?」
「…………」

あの人は黙秘を続け俯く私の両手首を掴んで床に磔にし、顔を覗き込むようにして口を塞いだ。
唇を舌で割って歯列をなぞられ、口内も犯される。
「んんっ……」
絡め合うざらっとした舌の感触に総毛立った。
かぶりを振って唇を離そうとするが、あの人は何度でも追いかけて喰らいつく。

くの字に折れ曲がった身体を殆ど抱き締めるようにしてぐっと腰を押し込まれ、あの凶暴な剣先は全て私の鞘に収まった。
これまでとは全然違うゆっくりとしたストロークに合わせて強請るように腰が揺れた。
「ぁあっ」
驚くほど甘えたような声が出た。

自分で自分の喘ぎ声を聞いてしまうと、悦びを得た身体のほうが理性を超える。
声を抑えなければと思うが、唇を噛もうとするとあの人の舌で阻まれ、耳を塞ごうにも押さえつけられた両手ではどうにもできない。
「っあ、や、ぁ……あっ」

「は、ようやく鳴いたか」

興奮したように舌舐めずりをし、あの人は私の腕を引き背中に腕を回して抱き起こした。
向かい合って座らされると至近距離で目が合い、恥ずかしさでかあっと顔が熱くなる。
その時どんな表情をしていたのか自分でもわからないが、きっと蕩けた顔をしていたと思う。
見られたくなくて下を向くと、あの人の吐息が私の旋毛にかかり、思わずくすぐったさに肩をすくめた。

あの人は私の髪を手で漉きながら至る所に口づけを落としたあと、顎を掴んで上を向かせ、今度は唇に口づけた。
一度唇を離し再度視線を合わせた後、私の震える睫毛をそっと喰み、それからもう一度ゆっくりと唇を重ね合わせた。
少し残っていた理性すらも溶けてしまいそうな程、しつこいぐらいの優しい口づけに私は溺れそうになっている。

「オレの名を呼べ」
「……い、や」

顔を横に背けたことで図らずも耳を差し出した形になり、腰に手を回し愛の言葉を囁くように耳元で名を呼ばれる。
「なぁ、アバン」
あぁ、この声はダメだ。
ぎゅっと目を瞑り耐えてみるけど、そのまま耳朶を甘噛みされ、また深く口づけられて、ことさらゆっくり揺さぶられて。

――もう、何も考えられない。

口の中が、触れる肌が、埋め込まれた胎(ナカ)が、熱い。

あの人の上に生まれたままの姿で跨っていて。
脱ぐものなんて、もうないのに。

まるで暴風のような強烈な刺激に必死に歯を食いしばって耐えてきたのに。

旅人の私はジリジリとした太陽の熱に焦らされて、頑なな心を覆う外套(コート)をするすると脱いでいく。

いつものように乱暴に暴いてくれたほうがよかった。
身体だけならなんとか耐えられる、でも、

――ココロまで、犯さないで。

焔の舌を絡ませ合いながらガクガクと揺すり上げられて、私はあの人の肩に縋り付き、上り詰めようとしていた。
「あ、あっ、……ぁあ、あ」
突き上げられる度に唇から漏れた甘い声は、段々と喘ぎ声というより泣きじゃくる声に近くなっていた。
二人の唾液が混ざり合い、飲み込み切れなかった分が口の端から喉を伝う。
太腿がビクビクと痙攣し、跳ねる身体を逃がさんと言わんばかりにがっしりと腰を掴まれている。

「……くっ」
あの人は獣のように身体を一瞬ブルッと震わせたあと、私の中に熱く滾った精を放った。
「あ、ぁ、は、ど……らぁ――っ」
ほとんど同時に達した私の言葉の最後は嬌声に変わった。
白い喉を反らしたあと、逞しい胸にこつんと額をつけると、ぼやけた視界の端に銀糸のような長い髪がはらりと落ちてきたのが見えた。

はぁはぁと肩で息をしながら毛先に指を絡ませ、軽く引っ張りながら根元に向かってゆっくりと目で辿ると、その先にある顔に焦点が合った。

あの人は少し目を細め、やっと名を呼んだなと言わんばかりにニッと口の端を上げ、尖った牙を私に見せた。
その意地の悪そうな顔が、ちょっと満足気な顔が、どうしようもなく好きで。

泣きそうになる。

――好きだ、なんて言えない。
たとえ言えたとしても、どうなるものでもない。

瞳から溢れそうな涙を隠すように、私は再度あの人の胸に額を擦り付けた。

◇

私を信頼して背中を預けてくれる仲間に対しての裏切り行為だということは、わかっている。
誰よりもわかっているんです。
でも、逢いたい気持ちが止まらない。
止められないんです。

私は勇者で、あの人は魔王。
これは揺るがない事実です。

私は魔王を倒すため、勇者になったのです。
だから、好きになったけど、倒すんです。
絶対に、倒さなくちゃいけないんです。
この手で、

――世界の平和のために。

自分一人すら救えないのに、こんな私が世界を救えるのですか?
お願いです助けてください。
話を聞いてくれるだけでもいいんです。
気持ちが溢れて溺れそう。
もがいても、もがいても、前に進めない。
どうしたらいいのですか?

どうか教えてください。
私の進むべき道を。
自分で考えなくてはならないということは百も承知だけれど。

貴方ならわかっているはずだから。
貴方なら――

『追伸 私はこの剣であの人の心臓をちゃんと貫くことができましたか?

 愛していると、伝えながら――』



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続きはこちら→『15のあなたへ~Dear mineシリーズ後編~』