2023/01/28 Sat NOVELS マタドール 司令ハドラー×赤アバン先生(魂の絆時空)。血の滾りが抑えられないハドラーと、その相手をする先生のお話。#ハドアバ #R18 -------------------- 「んっ、も、これ……いつまでっ」 するんですかと言い終わらないうちにハドラーはアバンの細い腰を掴み内側から揺さぶった。 アバンの言葉は快楽の波に攫われていき、声にならない声だけが残る。 「これくらいで泣きごと言うな」 アバンの快楽に歪む眉を見つめながら、ハドラーは薄く笑った。 ◇ 話は数刻前に遡る。 討伐の依頼を受けた魔物の群れを壊滅させた二人は、戦闘後特有の昂った熱を持て余したまま家路に就いていた。 不完全燃焼なのかプスプスと煙がたち昇るのが見えそうなハドラーを一旦落ち着かせようと、道中に小屋を見つけたアバンが「少し休みましょうか」と提案したのだった。 小屋は薪を保管するためのものらしく壁一面の棚に薪が積んであり、休憩所として使っていたであろう粗末な木のベンチと小さなテーブル、あとは農作業の工具が立て掛けてあるくらいで人が住むような造りではなかった。 天井には電球がひとつぶらさがっているが、明かりを灯さなくともよさそうだ。 外は晴れていて高窓からの光が差し込んでいるため室内は明るい。 アバンはこんなこともあろうかとお茶セットを持ってきておいて正解でしたね、とニコニコしながらテーブルに荷を開けている。 一体どんな場面を想定していたのか、まったくこの男の頭の中は測りかねる。 ハドラーはどのお茶にします?と茶葉を見せられたが、なんでも構わんと答えると、じゃあおまかせですね~と鼻歌交じりにお茶を淹れ始めた。 「あークソっ」 「ちょっと!壊しちゃダメですよっ」 半ば強制的にベンチに座らされ、振り下ろした拳で座板がミシッと音を立てるとさっそくアバンの小言がとんできた。 「この血の滾りをどうしてくれよう」 やり場のない感情のぶつけ先がわからず、オレの握った拳が震えている。 「ハイハイ、まずはお茶飲んで落ち着いてくださいね」 アバンは水筒に入ったお湯を茶葉を入れたカップに移しながら、なだめるように言った。 「おまえだって欲求不満じゃないのか」 「んー、ちょっと物足りない感じはありますけどね。でも依頼はちゃんとこなしましたから」 自分で発散するしかないですよー、はいどうぞと渡されたカップからは白い湯気が立ち昇っている。 「人間はこういうときどうやって発散するんだ?」 「そうですねぇ…ストレス解消なら軽い運動とか」 「何が悲しくて貴様とスポーツせにゃならんのだ」 ハドラーはカップのお茶をぐいっと一気に飲み干し、ガンと音を立ててテーブルに置いた。 あなた、そんな熱いお茶よく一気に飲めますねぇとあきれたように言い、アバンは自分のカップを持ちオレの隣に座った。 「別に私としなくてもいいんですよ。お一人でするとなると…ウォーキングとか素振りとか?」 元魔王がウォーキングだと?と文句を言いかけたとき、アバンはコップに口を付け、形のいい唇を窄めてふーっと息を吹いた。 ふわっと甘い香りが鼻をくすぐる。 香りのせいもありその仕草が妙に艶かしく見えた。 「じゃあ参考までに訊きますけど、魔族だったら何をするんです?」 「喧嘩と――セックスだ」 「うーん、お一人ではできませんねぇ」 と、ヘラヘラと笑っている。燻っているのはオレだけでなくアバンも同じと思っていたのだが、どうしてこいつは平然と笑っていられるのか。 自分一人が苛立っているのが腹正しくなり、その腑抜けた顔をどうにかしてやりたくなった。 「一人ではできん、ならば付き合ってくれるのか?」 ハドラーが口の端を上げ意地悪く訊ねると、アバンは一瞬え?という顔をした後、ああ、という表情になり 「いいでしょう。私がお相手します」 そう言ってにっこり笑った。 オレはアバンの片方の手首を掴むと、座ったままベンチに押し倒した。 「へ?」 急に視界が変わって驚いたのかきょとんとした顔でオレを見上げている。 アバンが勘違いしているのはわかっていたが、言質はとったし合意の上だ。問題ない。 「開けろ」 親指で唇を割り舌を入れる。 「ん、んーっ」 甘いな。こいつが飲んだのは果実茶か。 逃げまわるアバンの舌を追いかけ、強引に絡めとり吸った。 「ん……んんっ」 「……はぁっ、ん、んー」 アバンは自由なほうの手で拳をつくり、ドンドンとオレの胸板を叩いて抗議している。 うるさいので仕方なく離してやる。 「は、ちょ、ちょっと待ってください!ハドラー!」 うまく息が吸えなかったのか酸欠で顔が真っ赤だ。 「なんだ?」 「なんだじゃないです!今の!話の流れ的に喧嘩じゃないんですか?」 男同士ですよ、とこちらに抗議の目を向けた。 「魔族のセックスは性別にこだわらん」 と言うとへぇ?そうなんですか初耳です、と今度は感心したように目を丸くさせている。 「それに喧嘩もセックスも似たようなもんだろう」 「違いますよ!セックスは愛する者同士のコミュニケーションでしょう!」 そう言ってアバンは頬をふくらませ、ピンと立てた人差し指でオレの鼻先を押した。 「己の熱をぶつけ合うという意味では同じだろ」 「う……うーん、一理……あるかもしれませんね?」 今の状況を理解しているのかいないのか、アバンは押し倒されたまま顎に手を当て首を捻り何やら唸っている。 オレは賢いのか阿呆なのかよくわからんこの男のコロコロ変わる表情をしばし眺めていた。 視線に気づいたアバンはふと我に返ると、おずおずとオレの方を見た。 「そ、その……ハドラーは男の人としたことあるんですか?」 「心得はある」 「えっと……というよりは……」 「なんだ?言え」 「あなた……私を抱けるんですか……?」 不安そうに見上げるアバンの揺れる瞳の中に自分の姿が映るのが見えた。 「愚問だな」 「オレの熱を受け止められるのはお前しかおらんだろ」 「な、な、なんですかその殺し文句はっ」 何か不満でもあるのかとハドラーがニヤリと笑い、耳まで赤くなっているアバンの眼鏡を外してやった。 二人の視線を隔てていたレンズが無くなり、眼鏡の奥の潤んだ瞳を見られて恥ずかしくなったのか、アバンはふいと顔を逸らした。 いつも飄々としているくせに、こんな顔もするのだと、この顔をさせてるのが自分なのだと思うとなんだか気分がいい。 まだ横を向いているアバンの頬を両手で挟んでこちらを向かせ、もう一度深く口付けた。 今度は胸板を叩かれることはなかった。 時折ん、とか、ふ、とかくぐもった声が漏れてくる。 やはり息継ぎは下手らしい。 上着のボタンを引きちぎろうとしたハドラーだったが、だれが繕うと思ってるんですか!とまた小言が聞こえてきそうで、大人しくひとつずつ外しながらまさぐっている。 アバンの唇から顎、首筋、鎖骨と順に長い舌を這わせ、上着をはだけさせた。 色素の薄いその突起にそっと触れるとピクリと小さく跳ねた。 「ん……汚したくないし、服、脱ぎましょうか」 「いや、いい」 「着衣セックスがお好みで?」 「……」 こんなときでもお喋りだなこいつは。 無視を決め込んでハドラーは親指の腹でつつ、と乳輪をなぞり尖りの先端を押すとアバンは喉を反らせて鳴いた。 そのままゆっくりと回すように捏ねながら反対側を口に含んだ。 「あ、ぁっ、……あ」 舌先でつつき吸うたびにアバンの吐息混じりの甘い声が上がった。 「その赤い服、見ると気分が昂る」 「あ、赤い布に興奮するだなんて……はぁ……まるで……っ……闘牛ですね」 「人を牛呼ばわりするな」 「ん……そのうち……ツノでも生えてくるんじゃ……ないですか……ぁ」 「ぬかせ」 わざと軽口を叩くのも、快楽から逃れられない自分を誤魔化すためだとわかれば、生意気な口調もかわいく思えた。 「牛は色の識別などせんわ。赤い布は観客用だ」 「おや、ご存じ……だったんです……ね」 牛は赤いものを見ると興奮すると思われているが、実際には牛の目は色を区別できない。 布をはためかせた動きで興奮を煽っているのだ。 あちこち唇で触れながら喋るとくすぐったいのか、アバンの身を捩る姿がたまらない。 オレは断じて牛ではないがその艶めかしい動きに大いに煽られている。 はぁはぁと浅く息を吐いているアバンの濡れた唇の隙間から真っ赤な舌が覗いていた。 ーーー どのくらい時間が経過したのかわからないが、太陽の高さが変わり高窓からの光がアバンの肌をいっそう明るく照らしている。 うなじに軽く牙を立てると、プツっと出てきてみるみる丸くなる赤い粒を長い舌で舐めとり吸った。 人間の美醜はよくわからんオレだが、白い肌に咲く赤は美しい。 はじめはベンチで正常位だったはずだが、いつの間にかアバンは赤い上着を着たまま肩をはだけさせうつ伏せになっている。 ハドラーはその上に覆い被さって貫いていた。 「んっ、も、これ……いつまでっ」 ここで冒頭のアバンの台詞に戻る。 アバンの腰を両手で掴み後ろから更に強く腰を打ち付けると、もはや幾度達したかもわからないアバンから泣きが入った。 「いやっ……も、そこばっかりっ……しない、でって……あ、ああ――っ」 挿入しながらアバンの中心を扱くとガクガクと震え呆気なく果てたが、手は止めてやらない。 「今、まだイッてるから、ぁ、それだめ……や、やだ、ぁん、あ、あ」 襲い来る快感から無意識に逃げようとするアバンの身体を引き寄せ穿つ。 勇者時代、どんな不利な戦況でも逃げ出さなかった男が大きな瞳に涙を溜めてもういやだやめてと鳴いている。 ハドラーの加虐心に火が着いた。 獰猛な牙がアバンの首筋を捕らえる。 「噛まれるのが好きか」 「も、違いますって……やっ、あぁ――!」 小刻みに震えているうなじに噛みついた瞬間、またもや絶頂に達したアバンの嬌声が上がる。 締め付ける中の熱さに思わずもっていかれそうになるのをぐっとこらえた。 しなる背中に赤い血が伝うその姿にひどく興奮する。 ハドラーは荒い呼吸を繰り返す己を獣のようだと思った。 オレはアバンに、こいつを取り巻く赤にどうしようもなく惹かれている。 艶めかしい動きに煽られ、翻弄されている。 「アバン」 もう終いか、と声をかけるとアバンは上半身をくたりと床につけたまま顔だけをこちらに向けた。 「……ハドラー」 かかってきなさいと言わんばかりにオレを見据えるその瞳の光は失われていない。 そうでなくては面白くない。 ――もっと煽れ、闘牛士(マタドール)。艶やかな赤を纏いながら。 血の滾りはまだまだ治まらん。 ハドラーはアバンの奥めがけて猛る己の熱を突き刺した。 ◇ 超魔生物となったハドラーの立派な三叉角を見て、「ほら!私の言ったとおりになったでしょう」と得意げに笑いかけるアバンに、ぐぬぬとハドラーが口の端を歪ませるのはそう遠くない未来のお話。
マタドール
司令ハドラー×赤アバン先生(魂の絆時空)。血の滾りが抑えられないハドラーと、その相手をする先生のお話。#ハドアバ #R18
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「んっ、も、これ……いつまでっ」
するんですかと言い終わらないうちにハドラーはアバンの細い腰を掴み内側から揺さぶった。
アバンの言葉は快楽の波に攫われていき、声にならない声だけが残る。
「これくらいで泣きごと言うな」
アバンの快楽に歪む眉を見つめながら、ハドラーは薄く笑った。
◇
話は数刻前に遡る。
討伐の依頼を受けた魔物の群れを壊滅させた二人は、戦闘後特有の昂った熱を持て余したまま家路に就いていた。
不完全燃焼なのかプスプスと煙がたち昇るのが見えそうなハドラーを一旦落ち着かせようと、道中に小屋を見つけたアバンが「少し休みましょうか」と提案したのだった。
小屋は薪を保管するためのものらしく壁一面の棚に薪が積んであり、休憩所として使っていたであろう粗末な木のベンチと小さなテーブル、あとは農作業の工具が立て掛けてあるくらいで人が住むような造りではなかった。
天井には電球がひとつぶらさがっているが、明かりを灯さなくともよさそうだ。
外は晴れていて高窓からの光が差し込んでいるため室内は明るい。
アバンはこんなこともあろうかとお茶セットを持ってきておいて正解でしたね、とニコニコしながらテーブルに荷を開けている。
一体どんな場面を想定していたのか、まったくこの男の頭の中は測りかねる。
ハドラーはどのお茶にします?と茶葉を見せられたが、なんでも構わんと答えると、じゃあおまかせですね~と鼻歌交じりにお茶を淹れ始めた。
「あークソっ」
「ちょっと!壊しちゃダメですよっ」
半ば強制的にベンチに座らされ、振り下ろした拳で座板がミシッと音を立てるとさっそくアバンの小言がとんできた。
「この血の滾りをどうしてくれよう」
やり場のない感情のぶつけ先がわからず、オレの握った拳が震えている。
「ハイハイ、まずはお茶飲んで落ち着いてくださいね」
アバンは水筒に入ったお湯を茶葉を入れたカップに移しながら、なだめるように言った。
「おまえだって欲求不満じゃないのか」
「んー、ちょっと物足りない感じはありますけどね。でも依頼はちゃんとこなしましたから」
自分で発散するしかないですよー、はいどうぞと渡されたカップからは白い湯気が立ち昇っている。
「人間はこういうときどうやって発散するんだ?」
「そうですねぇ…ストレス解消なら軽い運動とか」
「何が悲しくて貴様とスポーツせにゃならんのだ」
ハドラーはカップのお茶をぐいっと一気に飲み干し、ガンと音を立ててテーブルに置いた。
あなた、そんな熱いお茶よく一気に飲めますねぇとあきれたように言い、アバンは自分のカップを持ちオレの隣に座った。
「別に私としなくてもいいんですよ。お一人でするとなると…ウォーキングとか素振りとか?」
元魔王がウォーキングだと?と文句を言いかけたとき、アバンはコップに口を付け、形のいい唇を窄めてふーっと息を吹いた。
ふわっと甘い香りが鼻をくすぐる。
香りのせいもありその仕草が妙に艶かしく見えた。
「じゃあ参考までに訊きますけど、魔族だったら何をするんです?」
「喧嘩と――セックスだ」
「うーん、お一人ではできませんねぇ」
と、ヘラヘラと笑っている。燻っているのはオレだけでなくアバンも同じと思っていたのだが、どうしてこいつは平然と笑っていられるのか。
自分一人が苛立っているのが腹正しくなり、その腑抜けた顔をどうにかしてやりたくなった。
「一人ではできん、ならば付き合ってくれるのか?」
ハドラーが口の端を上げ意地悪く訊ねると、アバンは一瞬え?という顔をした後、ああ、という表情になり
「いいでしょう。私がお相手します」
そう言ってにっこり笑った。
オレはアバンの片方の手首を掴むと、座ったままベンチに押し倒した。
「へ?」
急に視界が変わって驚いたのかきょとんとした顔でオレを見上げている。
アバンが勘違いしているのはわかっていたが、言質はとったし合意の上だ。問題ない。
「開けろ」
親指で唇を割り舌を入れる。
「ん、んーっ」
甘いな。こいつが飲んだのは果実茶か。
逃げまわるアバンの舌を追いかけ、強引に絡めとり吸った。
「ん……んんっ」
「……はぁっ、ん、んー」
アバンは自由なほうの手で拳をつくり、ドンドンとオレの胸板を叩いて抗議している。
うるさいので仕方なく離してやる。
「は、ちょ、ちょっと待ってください!ハドラー!」
うまく息が吸えなかったのか酸欠で顔が真っ赤だ。
「なんだ?」
「なんだじゃないです!今の!話の流れ的に喧嘩じゃないんですか?」
男同士ですよ、とこちらに抗議の目を向けた。
「魔族のセックスは性別にこだわらん」
と言うとへぇ?そうなんですか初耳です、と今度は感心したように目を丸くさせている。
「それに喧嘩もセックスも似たようなもんだろう」
「違いますよ!セックスは愛する者同士のコミュニケーションでしょう!」
そう言ってアバンは頬をふくらませ、ピンと立てた人差し指でオレの鼻先を押した。
「己の熱をぶつけ合うという意味では同じだろ」
「う……うーん、一理……あるかもしれませんね?」
今の状況を理解しているのかいないのか、アバンは押し倒されたまま顎に手を当て首を捻り何やら唸っている。
オレは賢いのか阿呆なのかよくわからんこの男のコロコロ変わる表情をしばし眺めていた。
視線に気づいたアバンはふと我に返ると、おずおずとオレの方を見た。
「そ、その……ハドラーは男の人としたことあるんですか?」
「心得はある」
「えっと……というよりは……」
「なんだ?言え」
「あなた……私を抱けるんですか……?」
不安そうに見上げるアバンの揺れる瞳の中に自分の姿が映るのが見えた。
「愚問だな」
「オレの熱を受け止められるのはお前しかおらんだろ」
「な、な、なんですかその殺し文句はっ」
何か不満でもあるのかとハドラーがニヤリと笑い、耳まで赤くなっているアバンの眼鏡を外してやった。
二人の視線を隔てていたレンズが無くなり、眼鏡の奥の潤んだ瞳を見られて恥ずかしくなったのか、アバンはふいと顔を逸らした。
いつも飄々としているくせに、こんな顔もするのだと、この顔をさせてるのが自分なのだと思うとなんだか気分がいい。
まだ横を向いているアバンの頬を両手で挟んでこちらを向かせ、もう一度深く口付けた。
今度は胸板を叩かれることはなかった。
時折ん、とか、ふ、とかくぐもった声が漏れてくる。
やはり息継ぎは下手らしい。
上着のボタンを引きちぎろうとしたハドラーだったが、だれが繕うと思ってるんですか!とまた小言が聞こえてきそうで、大人しくひとつずつ外しながらまさぐっている。
アバンの唇から顎、首筋、鎖骨と順に長い舌を這わせ、上着をはだけさせた。
色素の薄いその突起にそっと触れるとピクリと小さく跳ねた。
「ん……汚したくないし、服、脱ぎましょうか」
「いや、いい」
「着衣セックスがお好みで?」
「……」
こんなときでもお喋りだなこいつは。
無視を決め込んでハドラーは親指の腹でつつ、と乳輪をなぞり尖りの先端を押すとアバンは喉を反らせて鳴いた。
そのままゆっくりと回すように捏ねながら反対側を口に含んだ。
「あ、ぁっ、……あ」
舌先でつつき吸うたびにアバンの吐息混じりの甘い声が上がった。
「その赤い服、見ると気分が昂る」
「あ、赤い布に興奮するだなんて……はぁ……まるで……っ……闘牛ですね」
「人を牛呼ばわりするな」
「ん……そのうち……ツノでも生えてくるんじゃ……ないですか……ぁ」
「ぬかせ」
わざと軽口を叩くのも、快楽から逃れられない自分を誤魔化すためだとわかれば、生意気な口調もかわいく思えた。
「牛は色の識別などせんわ。赤い布は観客用だ」
「おや、ご存じ……だったんです……ね」
牛は赤いものを見ると興奮すると思われているが、実際には牛の目は色を区別できない。
布をはためかせた動きで興奮を煽っているのだ。
あちこち唇で触れながら喋るとくすぐったいのか、アバンの身を捩る姿がたまらない。
オレは断じて牛ではないがその艶めかしい動きに大いに煽られている。
はぁはぁと浅く息を吐いているアバンの濡れた唇の隙間から真っ赤な舌が覗いていた。
ーーー
どのくらい時間が経過したのかわからないが、太陽の高さが変わり高窓からの光がアバンの肌をいっそう明るく照らしている。
うなじに軽く牙を立てると、プツっと出てきてみるみる丸くなる赤い粒を長い舌で舐めとり吸った。
人間の美醜はよくわからんオレだが、白い肌に咲く赤は美しい。
はじめはベンチで正常位だったはずだが、いつの間にかアバンは赤い上着を着たまま肩をはだけさせうつ伏せになっている。
ハドラーはその上に覆い被さって貫いていた。
「んっ、も、これ……いつまでっ」
ここで冒頭のアバンの台詞に戻る。
アバンの腰を両手で掴み後ろから更に強く腰を打ち付けると、もはや幾度達したかもわからないアバンから泣きが入った。
「いやっ……も、そこばっかりっ……しない、でって……あ、ああ――っ」
挿入しながらアバンの中心を扱くとガクガクと震え呆気なく果てたが、手は止めてやらない。
「今、まだイッてるから、ぁ、それだめ……や、やだ、ぁん、あ、あ」
襲い来る快感から無意識に逃げようとするアバンの身体を引き寄せ穿つ。
勇者時代、どんな不利な戦況でも逃げ出さなかった男が大きな瞳に涙を溜めてもういやだやめてと鳴いている。
ハドラーの加虐心に火が着いた。
獰猛な牙がアバンの首筋を捕らえる。
「噛まれるのが好きか」
「も、違いますって……やっ、あぁ――!」
小刻みに震えているうなじに噛みついた瞬間、またもや絶頂に達したアバンの嬌声が上がる。
締め付ける中の熱さに思わずもっていかれそうになるのをぐっとこらえた。
しなる背中に赤い血が伝うその姿にひどく興奮する。
ハドラーは荒い呼吸を繰り返す己を獣のようだと思った。
オレはアバンに、こいつを取り巻く赤にどうしようもなく惹かれている。
艶めかしい動きに煽られ、翻弄されている。
「アバン」
もう終いか、と声をかけるとアバンは上半身をくたりと床につけたまま顔だけをこちらに向けた。
「……ハドラー」
かかってきなさいと言わんばかりにオレを見据えるその瞳の光は失われていない。
そうでなくては面白くない。
――もっと煽れ、闘牛士。艶やかな赤を纏いながら。
血の滾りはまだまだ治まらん。
ハドラーはアバンの奥めがけて猛る己の熱を突き刺した。
◇
超魔生物となったハドラーの立派な三叉角を見て、「ほら!私の言ったとおりになったでしょう」と得意げに笑いかけるアバンに、ぐぬぬとハドラーが口の端を歪ませるのはそう遠くない未来のお話。